今回の展示品は「EF58 上越形 ブルー」です。

1位側(※)から撮影

今回の展示品は、KATO 3020-2 「EF58 上越形 ブルー」です。

付属のナンバープレートから「121号機」を選定。昭和32年日立製作所製で高崎第二機関区所属時代をモチーフとしています。

当時の国鉄では「上越形」という区別はしていなかった代わりに、EF58形は所属機関区によって様々な改装が行われ、特徴のある個体が多数ありました。

2位側(※)から撮影

高崎第二機関区所属車は、前面窓上の大きなひさし(正式には「つらら切り」といい、冬場の夜中にトンネル出入り口付近などにできた氷の「つらら」が前面窓に直接当たらないようにするための防護器具)が特徴で、その他スノープロウ(雪かき器)、耐寒型ホイッスル(汽笛)を備えた車両が多くありました。

もっとも高崎第二機関区は実際に上越線を担当していたので「上越形」と呼ぶのもあながち間違いではありません。私よりやや年配の方なら水上駅で補機のED16形を連結して山岳地帯へ向かう姿が脳裏に浮かぶのではないでしょうか。

(※)電気機関車は前後どちらにでも走行できますので、その意味では前も後ろもありませんが、電気配線や車内に設置された機器類は前後対称ではないので、工場や運転現場での便宜から1位側が「前」2位側が「後ろ」と区別されており、運転室側面下部に表示されています。

サイド・ビュー 撮影用ライティングの反射具合が宝石化された車体の質感を物語ります。

特にこのEF58形は外観からも前後対称ではないことが分かります。

ナンバープレートがある位置が実際の車両のセンター(中央)位置です。分かりにくいかもしれませんが、屋根上の機器がやや2位側(画像右)に寄って配置されています。

サイド・ビュー(反対側)

逆側のサイド・ビューです。今度は屋上の機器類が右側に寄っているのが分かりますか?

昭和後期のEF58形の特徴はもう一つ。蒸気機関車の時代は「蒸気」は捨てるほどありましたので、客車はこの蒸気を機関車からもらって暖房に使用していました。これを「蒸気暖房」といいますが、このEF58形はそのためのSGボイラー(Steam Generator:蒸気発生器)を車内に装備していました。

EF58形はこのSGを搭載した最後の電気機関車だったのではないでしょうか。冬場にはSL(蒸気機関車)でもないのに白い蒸気をもくもくと吐きながら走っていたものです。

もっとも、昭和後期には旧型客車が改装を受ける際に「電気暖房(電暖)」という暖房方式に切り替えられていきました。これは機関車から暖房用の電気を貰って電気ヒーターで暖房するものです。

上の画像の右側運転室後ろの梯子後方に箱状の装置がついています。これは「電暖表示灯」と呼ばれ、電気暖房を使用する際に点灯するものです。よってこのEF58形は「SG」にも「電暖」にも対応していたことが、これで分かります。

2位側キャブ部拡大

以上のような、異なる時代の橋渡し役を担っていたため、このEF58形は旧型機関車でありながらも旅客用として国鉄の末期まで活躍を続け、何両かはJRにも引き継がれています。

宝石化にあたっては、車両分解後に車体を「GSIクレオスのスーパークリアーIII」でクリアコート、パンタグラフは工場出場後をイメージして、艶を完全に消したシルバーで塗装しています。

また、通常のナックルカプラー非対応のロットでしたので、ASSYパーツの「ナハフ11 「かもめ」 ナックルカプラー」を使用してナックルカプラー化しています。

さて、いかがだったでしょうか。次の企画にもご期待ください。

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