今回の展示品は、KATO 10-446 205系(武蔵野線色)8両セットより、2号車に位置する モハ205 401 です。
パンタグラフ付の中間車
この車両は、次に位置する モハ204 401 と組んで、ユニットを構成しています。床下に主制御器(運転台のハンドルからの信号を受けて、実際にモーターを駆動する電流の電圧を変化させる装置)を搭載していることが特徴です。
サイド・ビューです。丁度「モハ205 401」と書いてある真下にある箱が制御器です。その隣の箱は、励磁装置です。205系電車の特徴は、界磁添加励磁制御という方法でパワーコントロールを行って走る電車ですが、当時の武蔵野線に最新鋭としてデビューしたこの車両も、界磁添加励磁制御が採用されていました。
逆サイドです。武蔵野線には後になってからそれまで走っていた103系電車置き換えのため、山手線や総武・中央線各駅停車で使用されていた205電車が大挙して押し寄せることになります。
この「お下がり」の205系電車は武蔵野線に来るにあたって制御装置をVVVFインバーターという最新鋭(今では当たり前)のものに換装しました。このため、中古電車のほうが性能が良いという逆転現象が発生してしまいました。
パンタグラフ上部の色は?
パンタグラフ周辺です。本来、205系電車はPS201形という形式の、最上部(集電舟といいます)の両側湾曲部がパイプ状になったものを装備していました。
しかしこの模型ではそこまでは再現されておらず、汎用品としてのPS16形パンタグラフが使用されています。
後刻発売された205系5000番台(上記の中古電車)では、正確に再現されたものが取り付けられていますが、そのパンタグラフは製品発売に合わせた1回限りの別売部品としての発売だったため、入手は困難です。
また、スリ板(実際に架線に接触する部分)は、カッパー(銅色)で再現しています。実際の電車では、汚れで黒ずんでいますが、模型的にはデフォルメ(※)としてのこのアクセントが模型的高級感を向上させてくれます。
※デフォルメ:実物の特徴をやや誇大に表現することで、見た目の実感を表現すること
さてこの部分、実際の電車はどのような材質でできているのでしょうか。
「銅を主成分とした焼結合金製すり板は、対摩耗性が大きく、比較的集電容量が大きいため、国鉄では広く使用している~(中略)~このすり板は焼結合金のため多孔質で含油させてあるが、使用する場合はさらに、2-2-8図(略)のようにすり板間に黒鉛を混入させた、グラファイトグリースをすり板上面まで塗油して、電車線並びにすり板の摩耗を大幅に減少させている。」
交友社 直流用 新型電車教本(直流電車研究会編)
ですので、たとえ新車であってもパンタグラフのスリ板が銅色に輝いているということはなさそうです。
さて、いかがだったでしょうか。なお、4・6両目に連結される車両も同形態です。今後も撮影が終わり次第更新の予定です。